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神谷塾的勉強と受験と子どもの教育
札幌で学習塾を営む神谷が、日々生徒と接しながら考えたことをつづります。  おすすめの勉強法や高校・大学受験、教育全般に関する話題を書いていきます。  ★コメントには必ずお返事します★

プロフィール

神谷英樹

Author:神谷英樹
1962年、愛知県知多郡に生まれる。
1981年、愛知県立半田高校を卒業。
1983年、予定外の2年の浪人生活を終えて北海道大学に入学。
1988年、北海道大学理学部地球物理学科を卒業、地質コンサルタント会社に入社。浦和市(当時)にあった研究所に勤務。
1995年、どうしても北海道に戻りたくなってその会社を退職。札幌市内の学習塾で講師の職を得る。
2001年、独立開業。屋号を神谷塾とする。
家族は妻と大型犬1頭。息子2人は東京と大津に在住。趣味は物理と化学と野球とギターとベース。



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中学地理教科書の踏み込んだ記述

地歴講座の準備で中学生の教科書を必ずチェックする。今年度は新しい指導要領が正式に実施され、教科書もすべて新しくなった。そして厚みが増し、記述の深みも増した。中学の社会科では特に地理で目覚ましいものがある。

まず、前の前の指導要領ではもともとそうだったのだが、世界地理ではほぼ世界各地を、日本地理では日本の全地方を、それぞれ取り上げるようになった。これだけでも随分改善されたと思うのである。

こう書くと、最近の中学生の学習内容にあまりお馴染みでない向きには「そんなの、当たり前じゃないの」と思われるであろう。いや、それがですね、ついこの間までは「当たり前」じゃなかったのですよ。1節を設けて「各論」としての記述があったのは、世界地理ではアメリカ合衆国と中国とフランスだけ。日本地理では岩手県と福岡県と東京都だけ。たったこれだけ。あとは「全体を眺めてみましょう」で済まされていたのである。

他の科目はさておき地理という教科は、各論をやらずに総論ばかりやってもモノにならない。細部をおろそかにして全体を俯瞰することはできない。地図と首っ引きにして、ここにこんな川が流れている、こんな都市がある、と新鮮な気持ちで眺める機会を持たなくてはいけない。それでこそ、たとえば「世界の小麦の大産地の共通点」などという話が意味を持ってくるのである。

だから神谷塾ではSee-beを導入した2007年から地歴講座の地理では各論をしっかりやってきていて…と自慢話のような苦労話のようなことを書くはずではなかった。教科書の厚み・深みのことであった。

地歴講座の地理では最近「北アメリカ」を取り上げた。まあ、40分×2回くらいの時間では、ほとんどはアメリカ合衆国の話に終始せざるを得ない。前の教科書にも「アメリカ合衆国」はあり、話題は十分に揃えてあったつもりであった。

ところが、新教科書をちゃんと読んでみるとけっこう凄いことが書いてある。私の手許には札幌市で採択されている教育出版の教科書しかないのだが,人種差別と経済格差の問題や,超巨大企業による世界市場の支配など,以前は見かけなかったような詳細な記述が目に付く。率直に(以前は考えられなかったことだが)読んでいて面白い。教科書にここまで書いてあるからには、神谷塾の講義のネタもしっかり仕込み直さなくては、と思ったのである。

こんなコラムもある--

 アメリカ合衆国には,陸軍,海軍,空軍,海兵隊の4部隊で構成される軍隊があります。軍隊の規模は,正規軍は154万人,予備兵力も98万人にのぼります。軍事予算は5359間億ドル(2008年)で,世界の軍事予算全体の約半分を占めており,アメリカ合衆国は世界最大の軍事大国となっています。また,米軍の兵力の約10%は外国に駐留しています。2007年には,ドイツに約6万人,日本に約3万人が配置されていました。アメリカ合衆国は,経済力は先端技術においても世界最大の国です。そうしたアメリカ合衆国を中心とした世界の秩序を保つため,世界的な規模で軍事力は強められています。
 第二次世界大戦後,アメリカ合衆国が軍事力を強める背景となたソ連との冷戦は,1989年に終結しました。しかし,2001年9月11日には同時多発テロが発生し,初めてアメリカ本土が攻撃されました。これに対し,アメリカ合衆国は,テロ行為を行った勢力が潜んでいるとの理由からアフガニスタンを攻撃しました。こうした新しい脅威に対するため,アメリカ本土の防衛を重視するとともに,世界的に展開する米軍の配置を再編成する計画が進められています。計画では,世界のどこにも迅速に展開する能力を高めるため,友好国との連携が強められています。その最も重要な拠点がイギリスと日本です。
 世界最大の軍事力を支える軍事産業は,アメリカ経済に大きな影響をもっています。このため,戦力の配備や軍事作戦において,軍事産業の利益が優先されるおそれがあります。また,多大な兵力を派遣しているアフガニスタンやイラク戦争での犠牲者が増えており,志願制による兵力の確保が難しくなっています。さらに外国基地については,安全保障の面から駐留を歓迎する受入国がある一方で,アメリカ軍兵士による犯罪や基地の騒音,環境汚染などの問題が絶えないため,その撤退や移転を求める声があります。そのほかにも核兵器の廃絶や軍事費の削減など,米軍が直面する問題は少なくありません。
(教育出版『中学社会・地理 地域に学ぶ』p.87,赤字は神谷 )


アメリカ軍は、アメリカの軍事産業の都合にのっとり、またアメリカ資本の企業のグローバルな展開を支えるために世界に駐留し、一方で狼藉をはたらいているのですよ…と言っている。

なんだか高校生向け「政治・経済」の副読本のようである。中学生に読ませるために表現は全体に穏やかではあるが,中学の教室で米軍の本質に迫ることの可能な記述ではないだろうか。よくここまで書いた,いや書けたものだと感心する。そして,この文章が載っている教科書がよく文科省の検定を通ったなとちょっと不思議な気もしている。

もしかして,政権が民主党にあったからなのだろうか。民主党も結局アメリカの言いなりであったが,教科書検定官の仕事は自民党政権のころよりは緩かったのだろうか。だとしたらちょっと惜しかったな、と思う今日この頃である。



分解者は消費者でもある

中3理科「生物界のつながり」で、「分解者」というグループの意味が2012年度から変更されています。

従来は生物を「生産者」(=植物や藻類・植物プランクトン)、「消費者」(=動物)、「分解者」(=菌類・細菌類)と分けていました。これが今年度からは、まず大きな括りは「生産者」「消費者」の2つとし、「消費者」の中に「分解者」を置くことになっています。

「生産者」は光合成などをして無機物から有機物を作り出すことのできるもの。これは従来どおりですが、「消費者」は自分で栄養分をつくらず他の生物やその遺骸などを食べるか分解するかして生活するもの、つまり<生産者以外のすべて>ということになりました。

そして「消費者」の中に、もっぱら生物の遺骸や排出物を栄養分とするサブのグループとして「分解者」を置きます。「遺骸や排出物」とは?--動物の場合はすぐにわかると思います。植物の場合、遺骸とはたとえば落ち葉とか枯れ枝を指します。

「生産者」と対になる語は「消費者」であり、「消費者」の中に「分解者」がある。したがって「分解者」は「消費者」でもあることになったのです。生産しないのであれば消費のみするわけですから、まあ「すっきりした」とも言えるわけですが、実際はそう簡単ではありません。注意しておきたい点を2つ挙げておきます。

[1] 菌類・細菌類

菌類はカビ・キノコの仲間で、細菌類は酵母菌・枯草菌・乳酸菌など。これらは従来は「分解者」でした。遺骸・排出物も、そうでないものも(生きている動植物に取り付いたりもしますからね…)、最終的に二酸化炭素・水・種々の窒素化合物といった無機物に変えてしまうので文句なく「分解者」ですが、今年からは「消費者」でもあることになりました。繰り返しになりますが、栄養分を生産してはいないからです。

[2] 土中などにいる小動物

<草食系>では落ち葉を食べるミミズやダンゴムシ、トビムシ、草食のダニなど。<肉食系>ではトビムシや草食のダニを食べるカニムシや肉食のダニ、動物の遺骸を食べるシデムシ、動物の糞を食べるコガネムシの仲間、さらに自分より小型の小動物はみな食べるクモやムカデなど。これらは従来は「消費者」でしかありませんでした。エサはいちおう有機物であり、排出する糞も有機物ですから<最終的に無機物だけにする>ことはできないのですが、今年からは「分解者」の肩書きも持つことになりました。“本来”ゴミであったはずのものを積極的により細かいもの(糞)に形を変え、菌類・細菌類の処理につなげるから「分解」の役割を果たしている、と考えればいいでしょう。これら小動物がいなくては自然界が死体だらけ・落ち葉だらけになってしまうのですからね。

この点を修正できていない参考書・問題集・塾教材も多いと思いますので、現中3の人は気をつけましょう。・・・いや、初めて学習する中3の人よりも、実は<分解者=菌類・細菌類>と思ってずっとやってきた教師のほうこそ、言い間違えをしないようにしばらく努力を要するところかも知れません。


11月のあれこれ

12月も下旬にさしかかりましたが、やっと11月のまとめです。

22日(木)~26日(月) 中3の受験校決定のための進学相談会。ご希望があれば本人同席。
例年11月終盤から12月初旬にかけてやるのだが、今年はそれよりほぼ1週間早くデータが整いそうだったので早めにアポ取りを行った。その結果22日(木)から25日(日)までの4日間に全部が集中し、土曜夜の理科講座・日曜朝の中3秋期講習・月曜夜の地歴講座の仕込みや講義に加え、偶然見つかった虫歯の治療なども重なって、連日朝から夜までずっと何かに集中していなくてはならない状態。月曜夜に地歴講座が済んだときにはなんだか「正気に返った」ような気がしたものである。昼も夜もないような無茶苦茶な数日間だったが不思議と体調は良好。

24日(土) 理科講座。
第19回 【中3生物】生物界のつながり 【中2地学】雲・霧の発生と水の循環

中3理科はこれが最終回。「生物界のつながり」での、「分解者」の扱いの変更については別記事にする予定。教師としては頭ではわかっているのだが昨年までとは説明のしかたを変えねばならず、けっこう大変であった。
See-beにはオオカマキリがクモ一匹を喰うシーンとかネズミの遺骸が骨だけにされる過程などが収録されていて、ちょいとグロなのだが実に興味深い。生徒には毎年「こういうの苦手な人は横を向いててね」と告げるのだが、みな興味津々という眼差しで視線を逸らすことはない。今年度の中3は女子ばかりなのだがなかなか頼もしいのである。

26日(月) 地歴講座。
【地理】北アメリカ(1) 【歴史】日清戦争と日露戦争 【公民】財政のしくみとはたらき

地理の新しい教科書を読んでいると、過去にはなかったような踏み込んだ記述を見つけてちょっと驚かされる。この件についても別記事にする予定。

3日(土)・4日(日)・25日(日) 中3秋期講習。
第9回 道コン(第3回北海道学力コンクール)
第10回 定期試験期間中につき道コンの返却・解説のみ
第11回 講義 【数学】円 【英語】総合演習③ 【理科】地学分野総合演習

某日 学生時代ずっとお世話になっていた北大そばの居酒屋「おし鳥」が11月いっぱいで閉店となった。北大の交響楽団とか応援団とか馬術部とかいろんな団体がネジロのようにしていて、狭い店内に何十人もごったがえしてはよくお酒をカラにしたものであった(交響楽団の仲間と飲みに行き地球物理の先生と居合わせたことも)。元気だったマスターも御年81歳となり、夕方から深夜までひとりで切り盛りするのはもはやキツイとのことであった。北大交響楽団のOB・現役団員の間で大騒ぎになり、東京あたりから急遽駆けつけるOBもいて、11月の終盤は大混雑だった模様。大混雑した日には私はどうしても行かれず、やっと赴いた時にはがらがらで拍子抜けしたものであったが、マスターとゆっくりお話できたのは非常に有り難かった。
お世話になりました。ありがとうございました。