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神谷塾的勉強と受験と子どもの教育
札幌で学習塾を営む神谷が、日々生徒と接しながら考えたことをつづります。  おすすめの勉強法や高校・大学受験、教育全般に関する話題を書いていきます。  ★コメントには必ずお返事します★

プロフィール

神谷英樹

Author:神谷英樹
1962年、愛知県知多郡に生まれる。
1981年、愛知県立半田高校を卒業。
1983年、予定外の2年の浪人生活を終えて北海道大学に入学。
1988年、北海道大学理学部地球物理学科を卒業、地質コンサルタント会社に入社。浦和市(当時)にあった研究所に勤務。
1995年、どうしても北海道に戻りたくなってその会社を退職。札幌市内の学習塾で講師の職を得る。
2001年、独立開業。屋号を神谷塾とする。
家族は妻と大型犬1頭。息子2人は東京在住。趣味は物理と化学と野球とギターとベース。



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本の紹介:『『憲法主義 条文には書かれていない本質』』



【『神谷塾だより』第214号(2014年9月6日発行)に次の記事を載せましたので、ここにもアップします】

著者はAKB48の内山奈月さん(慶應義塾大学経済学部1年、愛称なっきー)と南野森氏(九州大学法学部教授、憲法学)。南野氏が内山さんに個人講義するという形式で、そのやりとりがほぼそのまま再現されているようです。新聞やネット上で話題になっているので、既に手に取った人もいるかも知れませんね。

  第1講 憲法とは何か?
  第2講 人権と立憲主義
  第3講 国民主権と選挙
  第4講 内閣と違憲審査制
  第5講 憲法の変化と未来

という構成で、随所に内山さん手書きのポイント整理があり、各講の終わりにも内山さんによるまとめがあり、と大変読みやすいつくりになっています。

「立憲主義」という語はよく見かけるわりに明確な定義を見かけないように思いますが、本書には「憲法を政治の根本に据える主義、憲法によって国家を運営していく主義」、端的に言えば本書の表題「憲法主義」である、と説明されています(第2章、p.79)。憲法は国民を縛るものではなく国家権力を縛って国民を守るものだ、とも明確に述べられています。

また第2章には「AKB48の『恋愛禁止』は憲法違反か」という非常に興味深い議論が出てきます。答は「憲法違反ではない」。なぜか?…それは読んでみてのお楽しみ。

内山さんは日本国憲法を隅から隅まで暗唱できるのだそうですね。憲法のプロである南野氏の記憶が曖昧なところを修正してあげて感謝されたりしている(笑)。高2までは理系で高3で「文転」したそうですが、本書を読んでいると本当によく勉強したのだなと思います。

高校・中学の公民の副読本として恰好です。ぜひ一読を。

なお、講義風景を収録した動画がありました。こちらです。



新型インフルエンザ対策

本の紹介です。

『企業のための新型インフルエンザ対策マニュアル』
(東洋経済新報社、2008年、194P、2000円+税)
wada

著者の和田耕治氏は北里大学医学部助教で、新型インフルエンザ専門家会議委員。

amazonのサイトから「内容紹介」を引用しますと--

■■■ここから引用■■■

▼新型インフルエンザとは
世界で新型インフルエンザの流行が懸念されている。これは本来、鳥同士で感染するH5N1鳥インフルエンザが変異して、人から人へ感染するもので、未知のインフルエンザのため、予防薬も治療薬もないのである。厚生労働省の試算によると日本で蔓延した場合、最大で2,500万人の患者が医療機関を受診し、約64万人が死亡すると予測されている。第1次世界大戦を終結に追い込んだスペインインフルエンザ(スペイン風邪)よりも強毒性のため、200万人以上が死亡するという識者もいる。

▼世界的流行は時間の問題!
現在インドネシアなどでH5N1鳥インフルエンザの鳥-人感染が増えており、甘く考えることはできない。この鳥インフルエンザが変異し新型インフルエンザとなると、交通網の発達により、世界的な流行、日本での蔓延は避けられないとされている。新型インフルエンザが流行すると、その感染力と死亡率の高さから医療機関に患者が殺到し、社会がパニック状態になり、通常の社会活動が営めなくなるのは明らかだ。そうした状況の中で企業活動を続けることは容易ではない。なぜなら、感染を恐れる社員の出社拒否や家族の看護続出で、社員が集まらず、業務が停止してしまう恐れが出てくるからだ。

▼企業が取るべき対策を解説
幸いなことに現段階ではまだ準備をする時間がある。企業が可能な限り準備をすることで従業員ならびに企業への影響を低減することができるであろう。本書は医師で、厚労省新型インフルエンザ専門会議の委員である著者が、流行に備え、企業がどのような対策を打つべきかをわかりやすく解説したものである。

■■■引用終わり■■■

漠然とした恐怖のうちに流行が始まる“Xデー”を待つのではなく、対策できることは始めよう。国や都道府県からの指示を待つのではなく自主的に。それは、企業は社会を動かす原動力の1つであり、人々の生活を支える社会的責任もあるからだ--という姿勢にとても説得力があります。すでにパナソニックや東京電力では会社をあげての対策が進んでいるそうです。

予防のための基礎知識もわかりやすく説明されているので、通常のインフルエンザ対策にも大いに宅立ちます。たとえば手洗いは「石鹸で15秒」と具体的で実行しやすい。ウィルスは手の皮膚からは感染しませんが、主たる侵入路である口・鼻・耳などの粘膜にウィルスのついた手で触れると侵入されます。だから、手洗いとともに粘膜にむやみに触れないことも大切です。

この本にはいろいろ教わることがありましたが、「うがいは効果なし」ということも初めて知りました。ウィルスは体内に侵入すると30分程度で増殖を始めるので、喉の粘膜で増殖中のウィルスがいてもうがいでは除去できません。

通常のインフルエンザの予防接種については推奨されています。もともと、ワクチンを接種すればインフルエンザが感染しないということではなく、感染・発症したときの症状が重くなるのを防ぐのが目的です。新型インフルエンザが流行するときには通常のインフルエンザも流行するでしょうから、インフルエンザ全体?の症状の悪化を防ぐのには有効であろうということです。

さしあたり、新型インフルエンザ流行の場合には無事では済まないだろうとの覚悟はできました。ライフライン企業のような社会的責任が塾にあるかというとそれはNOでしょうが、通っている生徒さんの利益を守る責任だけはあります。もしも私や私の家族が新型に感染・発症したら、症状が軽くなるまで1週間から10日くらいは店を閉めなくてはないらないでしょうね。それで、私自身が生き延びることができれば店を再開する。生徒さんやご家族が感染してしまったら休んでいただく。学生スタッフについても同様です。

とまあ、従業員が大勢いる企業と違い、私自身や家族の健康管理が中心になるので、対策はきわめてシンプル(笑)です。著者も言っていますが、対策を進めつつも新型インフルエンザが特に流行することなく、数年後に、あの“新型インフルエンザ”ってなんだったのか?となることを祈るばかりです。

『水はなんにも知らないよ』

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本の紹介です。著者は『新しい科学の教科書』執筆代表の左巻健男氏(同志社女子大学教授)。(ディスカヴァー携書、本体1000円)

書名はもちろん『水は答を知っている』を笑い飛ばすもの。カバー折り返しにあるキャッチをそのまま引用させていただきます。

 波動水、
 磁化水、
 マイナスイオン水、
 π(パイ)ウォーター、
 トルマリンを使った水、
 クラスターの小さな水、
 抗酸化性をうたう水……
 世にあふれる“怪しい水ビジネス”を科学の視点で徹底検証!


今日、amazon.com に次のようなレビューを書いて出しましたので、ここでも紹介しておきます。(掲載されるかどうかは4~5日たたないとわかりません)

=====ここから=====

「水に“ありがとう”と言うと美しい結晶ができる」?…馬鹿馬鹿しい。あり得ない。水は人間の言葉を理解したりはしない。多くの人はそう考えるはず。--にもかかわらず少なからぬ大人が騙されてしまうのは、ニセ科学は科学的な用語や雰囲気に粉飾されていて、<科学の理解は浅いが科学的な雰囲気には弱い人>の心理を効果的に突いてくるからだ。

たとえば「波動」という言葉。ニセ科学でいう「波動」はもともと霊能者用語で、「あらゆるものが放射しているとされる何物かであり、霊気のようなもの」。物理学の「波動」とは全く異なるものだが、このような一見“科学的”な用語が散りばめられていると科学に見えてしまうのだ。

科学の常識を活用する能力を「科学リテラシー」というが、ここでは「ニセ科学を見抜く力」と言ってもいい。ニセ科学に騙されて財産や時間や健康を失うのを防ぐには、子どものうちから科学リテラシーを養っておく必要があるだろう。もちろん、大人になってからでも遅くない。怪しい本が売れている一方、科学者の側からの検証や批判はこれまであまりされてこなかった。本書をさきがけに類書が続々と登場するのを期待したい。

なお、ニセ科学に共通するキーワードは「波動」のほか「共鳴」「クラスター」「マイナスイオン」「エネルギー」「活性」「トルマリン」などなど。これらの言葉が出てきたら、それはたぶんインチキである。本書はこの点を明解にしてくれているだけでも一読の価値がある。


『料理の仕事がしたい』

本の紹介です。辻芳樹編、岩波ジュニア新書です。
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まずは裏表紙の紹介文を。

話題のレストランのシェフや気鋭の料理人、人気パティシエ、ソムリエなど、いま注目を集める料理の仕事人たちが自らの仕事の魅力を語ります。料理の道を志したきっかけや厳しい修業のエピソード、夢を実現するまでの道のり、料理へのこだわりなど、それぞれの個性あふれる仕事ぶりをたっぷりと紹介します。

いい高校→いい大学→いい勤め先、という構図が崩れ去っている今、料理の世界に興味をもつ中高生もいるのではないかと思い、塾の書棚に置くために購入、自分でも一読しました。編者は有名な辻調理専門学校の校長。メッセージを寄せているのは、ここの卒業生を中心に16名。職種・肩書を列記してみますと、

・フランス料理店オーナーシェフ
・イタリア料理店オーナーシェフ
・イタリア料理店オーナー
・料亭の主人
・懐石旅館の主人
・焼鳥店の店主
・串カツ店の店主
・シェフソムリエ
・オーナーシェフ
・オーナーパティシエ(菓子職人)
・オーナーブランジェ(パン職人)
・パリスタ(コーヒー職人)/カフェ店主
・料理教室主宰/料理研究家
・料理研究家/フードコーディネーター/スタイリスト
・レストラン=ディレクター
・オーストリア国家公認キュッヘンマイスター(料理の匠)

高校から専門学校へという経歴の人が多いですが、大学を卒業してから専門学校へという人もいます。和食の修業の場としては、その名だけは私も聞いたことがある京都の「吉兆」がしばしば登場。フレンチやイタリアンではヨーロッパへの留学や武者修行をする人も多い中で、オーストラリアで独学ではじめて世界最高峰に上り詰めている人もいて、驚かされます。焼鳥店と串カツ店の人は、フレンチからの転身です。

登場する人たちは、みなさん、実によく勉強し、努力しています。圧巻は、オーストリア国家公認キュッヘンマイスターにアジア人で初めてなった人。その資格試験は超難関で、読んでみるとわかりますが試験の準備にそれは過酷な努力を要求されます。ドイツ語はもちろん、英語とフランス語も必要。技術・知識・言語のすべてに秀でていなくてはならず、日本の司法試験などよりも難しいに違いありません。

そんなわけで、一読すると、「料理の世界で一人前になるためには常人には不可能な努力を強いられるのだ」というような印象を受けてしまいます。高校生を読者として想定して書かれていますが、高校生たちに「こりゃだめだ」と思わせてしまいかねません。

まあ、この本に登場するような華々しい人たちだけで料理の世界が成り立っているわけでもありません。目立たず、地道に技術を磨いてその店を支えている人が大多数なのです。

それに、どんな職業でも、一人前になるまでには命を削るような思いをしながらくぐりぬける時期が必ずあるものだと思います。私は地質調査業と塾屋しかわかりませんが、20代・30代という年齢にはやはりそういう時期があった気がします。だから、料理の世界にももちろんそれはあり、現場を知らないのでやたらと大変なような印象を受けてしまうのでしょう。その道で生きていこうという覚悟さえあれば、切り抜けていけるのかなと思います。

あとは、どなたかが書いていましたが、良い師匠を見つけること。だめな人物の下で苦労しても身にならないのですね。それはどんな世界にいても言えることだと思います。

[続きを読む]

『ドスコイ警備保障』

先日読んだ『都立水商!』に続いて、室積光『ドスコイ警備保障』(小学館文庫) を読んだ。やたらと面白く、またしても一気に読み終えた。今年は本をあまり読めていないが、この2冊がダントツである。

廃業力士の再就職先として設立された「ドスコイ警備保障株式会社」。ガードマンとしてこれ以上ないという人材ぞろいの会社である。連続強盗犯を半殺しにして世間の脚光を浴びたかと思うと、ボディガードを引き受けたある外タレに大受けして世界中にブレイク。会社は着々と軌道に乗っていく。社長はもちろん、やがてできる大阪や東北の支社長も元力士。

ただの荒唐無稽なギャグではなく、この会社を設立するに至った深い理由が次第に明らかにされていく。登場人物はそれぞれ魅力的だが、とくに「大東山」(四股名)のドラマはいい。

『都立水商!』もそうだったが、登場人物がチラリといいことを言う場面がある。『ドスコイ』を読みながら「そうだよなあ」と考えさせられ、思わずページの角を折ってしまった箇所が3つあるので、要約して紹介しておこう。

(劇団で芝居の稽古をする若者に、俳優丸田高広が)
俳優としてお金を稼ぐことはなかなかできるようにはならないのだから、いまは何で稼いでもいい。しかし、俳優としてのお金の<使い方>なら今すぐ実行できる。いい芝居や映画を観たり、バレエのレッスンを受けたりすることだ。俳優としてふさわしいお金の使い方をしろ。

(やはり俳優丸田が)
こだわりを持つのは良くない。こだわることは自分の狭い経験や考えの中にこもることだから、そこからいいものはできない。

(役者兼バー経営者の西田静志郎が)
成功する人の発想というものがある。成功した人間は、成功の理由を自分の力とは言わず「運が良かった」と言う。挫折した人間は「努力が足りなかった」と言う。これが、成功した人間が「努力したから」と言い、挫折した人間が「運がなかった」と言ってたらだめなんだ。

室積氏は俳優を経て劇作家、という経歴の持ち主であるようだ。おそらくは、自身の分身として俳優たちを登場させ、自身の言葉を語らせているのだろう。