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神谷塾的勉強と受験と子どもの教育
札幌で学習塾を営む神谷が、日々生徒と接しながら考えたことをつづります。  おすすめの勉強法や高校・大学受験、教育全般に関する話題を書いていきます。  ★コメントには必ずお返事します★

プロフィール

神谷英樹

Author:神谷英樹
1962年、愛知県知多郡に生まれる。
1981年、愛知県立半田高校を卒業。
1983年、予定外の2年の浪人生活を終えて北海道大学に入学。
1988年、北海道大学理学部地球物理学科を卒業、地質コンサルタント会社に入社。浦和市(当時)にあった研究所に勤務。
1995年、どうしても北海道に戻りたくなってその会社を退職。札幌市内の学習塾で講師の職を得る。
2001年、独立開業。屋号を神谷塾とする。
家族は妻と大型犬1頭。息子2人は東京在住。趣味は物理と化学と野球とギターとベース。



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有機化学の教科書



川端潤『ビギナーズ有機化学』をいちおう読了したので、次の教科書を探すことにしました。今度は有機化学の独習にいよいよ本腰を入れるつもりなので、時間をかけて検討する価値があると思い、書店に出かけたり、amazonの書評を見たり、2ちゃんねるのスレッドを見たりもしました。そうしてだんだんわかってきたのは、以下のようなことです。

①アメリカ?の研究者の著作の翻訳ものが多く、それらは『マクマリー有機化学』のように著者名が書名の一部になっている。“国産”の教科書もあるが、定評のある本は翻訳ものに多い。

②ビギナー向けの次の段階には、『マクマリー有機化学概説』のように1冊にまとめられた「概説」または「概論」のグループがある。化学専攻でない理系学部レベルというところでしょうか。

③その上に化学専攻の学部生向けとして『マクマリー有機化学 上・中・下』といった、いわゆる定番の教科書がある。たぶんすべてが2分冊から3分冊でハードカバー。演習問題の解答はついていないか、あっても英語版の別冊になっている。ボリュームがあり、ワンセットを定価で買うと1万円をあっさり超えてしまう。

④さらに大学院生向けとして『ウォーレン有機化学 上・下』などがある。

--定評のある本が2~3分冊になっていて演習問題の解答も別冊、別冊が英語版ででも存在するかウェブサイトに公開されていればいいほうで、解答が手に入らないものも珍しくないのです。この辺が物理や数学の本と大きく違うところ。大学の授業で指定するものなら解答も用意されるかも知れませんが、こちとら独習者でありますので、解答がなくては無理です。

そんなわけで、最適の1冊(1種類)を探すのにけっこうな時間をかけることになりました。高価なものでもあり、また今回買ったらたぶん死ぬまでもう別の本は買わない。浮気しないでその本を何度も読む。そういうつもりで、多少背伸び気味でもいいから欲しいものを買おうと思いました。現在の実力に鑑みると②の概説・概論へ進むべきだったかも知れませんが、それを一通り読むのにたぶん1年では済まないうえに、苦労する割に満足が行かないかも知れない。人生の残り時間を考えるとそれではいけません。

というわけで、冒頭の写真の『マクマリー有機化学 第6版 上・中・下』(東京化学同人、2005)を購入しました。現在は第7版が出ていますが、最新版でなくても私には十分、といいますか私は車でも何でも中古が好きであります(笑)。北大十三条門そばの「弘南堂」さんにこの本がありましたので、本を売りに行ったその“売上げ”で買いました。定価で買うと3冊で13300円になるところ、4000円で買えました。いい買い物です。

1章も満足に読めなかったらどうしよう…という不安がないでもなかったのですが、例によってスターバックスに出かけて取りかかったところ、まず第1章は読めました(笑)。いま第2章の途中にいます。要所には例題と解法があり、次の練習問題には下巻の最後に略解があります。当座はこれで十分に充実した勉強ができそうであり、章末問題の別冊解答は追って入手するつもりです。

さて、早くも上がった成果を1つ。これまでニトロ基(-NO2)や硝酸イオン(NO3 2-)の電子の状態が私はわからなくて(窒素原子Nは結合の腕がふつう3本なのに、これらでは4本です)非常に気持ち悪かったのですが、マクマリーの第2章を読むうちに理解できました。孤立電子対を豊富にもつ酸素原子Oが“融通”するのですね。

読んでいて消化不良感がなく、それまでの疑問も解決される。ということで、たぶん相性の良い本を選ぶことができたのだと思います。



アルミニウムとアンモニア水

珍しく、久しぶりに、教科内容の話題です。ホントはこんなことではいけないのですが。

アルミニウムとか亜鉛、すず、鉛といった金属は酸ともアルカリとも反応する性質がありまして、これらを両性元素といいます。このムツカシイ話は小6の理科に出てくるのですが、中学理科では正面切って取り上げず、高校化学でまた出てきます。

たとえば、両性元素であるアルミニウムは酸性の水溶液にもアルカリ性の水溶液にも溶けます。酸性の水溶液の代表はうすい塩酸、アルカリ性の水溶液の代表は水酸化ナトリウム水溶液で、それぞれ化学反応式は次のようになります。

  2Al + 6HCl → 2AlCl3 + 3H2
  (アルミニウム+塩化水素→塩化アルミニウム+水素)
  2Al + 2NaOH + 2H2O → 2NaAlO2 + 3H2 …★
  (アルミニウム+水酸化ナトリウム+水→アルミン酸ナトリウム+水素)

さて、この間たまたま小6理科のある教科書を見ていたら、アルミニウムをアンモニア水に溶かすという実験が出ていました。エッ、溶けるのか?(たしかにアンモニア水はアルカリ性ですが)と結果を見てみると「溶ける」とあり、証拠写真までついています。ただし、アルミ箔の小片が全部溶けるまで1週間もかかり、また、ただ溶けただけではなく白色の沈殿が生じています

これはいったいどんな反応だ?こんな大変そうなのを小学校でやってるのか?と気になり、いろいろ調べてみましたが、高校化学の本などにはこの反応は載っていません。ネットでちょっと調べてみても、見られる範囲にはズバリの解答は見あたりません。もちろん自力で考えるには、私の能力を超えています(笑)
[続きを読む]

硫化鉄の生成

先日、生徒と一緒に中2理科「化学変化と原子・分子」の問題を解いていました。鉄の粉末と硫黄の粉末の混合物を試験管に入れてガスバーナーで加熱すると、鉄と硫黄が化合して硫化鉄ができます。
   鉄+硫黄→硫化鉄
   Fe + S → FeS

このとき、混合物を加熱し続けるのではなく、一部を加熱して反応が始まると、加熱をやめても反応は続きます。鉄+硫黄の化合のときに熱が出るため、その熱がまた次の化合を引き起こすのです。もともと加熱しなくても水でこねてダンゴにしておけば(つまり、鉄原子と硫黄原子が接触していれば)反応は始まるので、バーナーで加熱するのは最初のきっかけを与えるためということになります。

さて、加熱するその「一部」は、私は原理的にはどこでもいいのだろうと考えていました。ところが、ある出版社の問題集に、「試験管の上部・中部・下部のどこを加熱するか」選べ、という問題があるではありませんか。正解は「上部」なのですが、中部や下部ではいけないという説明がありませんし、私も詰まりました。確かに生徒はそのように教わるし、教科書にもそうあるので、記憶にしたがって上部を選べばいいのでしょうが、それでは理科ではありません。上部を選ぶからにはその理由があるはずで、理由も知らずに上部だと憶えるのはただの“暗記”でしかありません。

私はもともと理科や社会を暗記科目だとするのには抵抗があります。暗記というのはおそらく「わけもわからず記憶すること」で、歌の歌詞とか般若心経をそらんじるのはいいとして、勉強の場面ではしばしば「電話帳を憶える」かのごとき苦役となります。そんなことでは理科も社会もできるようにはなりません。「暗記科目が苦手だ」という子どもは、理科や社会を暗記だと思っているから、いつまでたっても苦手なのだと思います。

さて、上の問題はわけがわからなければまさに暗記を助長する例となってしまうので、私の気が済みません。それで、いつも頼りにしている「新理科教育ML」に質問の投稿をしました。

「鉄と硫黄の混合物を試験管に入れて加熱するとき、なぜ混合物の上部を加熱するのでしょうか」

すると、代表の左巻健男氏(同志社女子大教授)ら化学分野に強い方々から回答をいただきました。整理するとこうです。

1.下部を加熱すると、下部では化合が起きるが、溶けた硫黄が底にたまって化合が中途で終わってしまう。だからといって下部からの加熱を続けると、温度が上がりすぎて試験管が割れる。また、火力を上げてガーッと全体を加熱しようとすると、反応の熱がいちどに発生して危険、ということもある。

2.上部を加熱すれば、溶けた硫黄は下方に流れていくだけなので、反応が中途で止まることはない。

3.なお、バーナーでの加熱をやめても反応が進行する様子を目で見ることができるので、化合によって熱エネルギーが発生し、それが次の反応を引き起こしてゆく様子がよく観察できる。この点でも、上部を加熱する方式は優れている。この方式を開発したのは大竹三郎さんという方(故人)で、1962年のことだそうです。

といったことでした。

ほんとうは自前のラボを持って、自分でいろいろやってみるべきなのです。しかし神谷塾は現在(たぶん今後も)間借りの状態で、火気を使う実験はできそうにありません。物理分野の光とか電気なら、装置さえあればできると思うのですが。