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神谷塾的勉強と受験と子どもの教育
札幌で学習塾を営む神谷が、日々生徒と接しながら考えたことをつづります。  おすすめの勉強法や高校・大学受験、教育全般に関する話題を書いていきます。  ★コメントには必ずお返事します★

プロフィール

神谷英樹

Author:神谷英樹
1962年、愛知県知多郡に生まれる。
1981年、愛知県立半田高校を卒業。
1983年、予定外の2年の浪人生活を終えて北海道大学に入学。
1988年、北海道大学理学部地球物理学科を卒業、地質コンサルタント会社に入社。浦和市(当時)にあった研究所に勤務。
1995年、どうしても北海道に戻りたくなってその会社を退職。札幌市内の学習塾で講師の職を得る。
2001年、独立開業。屋号を神谷塾とする。
家族は妻と大型犬1頭。息子2人は東京在住。趣味は物理と化学と野球とギターとベース。



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高校入試が済んだら

北海道の公立高校入試(学力検査)が今日(3月5日)行われました。高校入試を終えた中3の皆さんはお疲れさまでした。今日は自己採点をするほかは勉強する気など起こらないでしょうが、明日か明後日あたりから高校の予習を始めるといいでしょう。

期間は長くないので、数学と英語に絞りましょうか。高校の合格発表のあと入学前の課題をもらいますが、それまで何もせずにいるのはもったいないし、高校で少しでもいいスタートを切るためには“貯金”を持って入学したほうが絶対にいいのです。

“貯金”と言えば、特に数学についてはこのブログや神谷塾のHPでたびたび書いているように、中3のうちに高校数学のせめてⅠを、できればAも、自分でひととおり勉強しておくと非常にいいのです。が、高校入試まで中学数学で手一杯だった人は今それを言われても困りますよね。ということで、数学Ⅰの最初のところ、「数と式」だけでも勉強しておきませんか。

ここは中学数学の「数と式」の延長といいますか発展になっていて、中3の「数と式」を勉強した人には敷居は高くありません。高校によってはこの章を自習しておけ、という課題が出たりもします。新しい公式や見慣れない記号が出てきますから、しっかりノートに書いて1つ1つ確かめながら(目で追うのではなく「手で追い」ながら)、進めていきましょう。

高校で授業を受ける前に自力でやるなんて…と思った君。高校で授業をしてくれるのを待っていてはだめです。高校の授業は(たぶん)中学とは段違いに速いし、高校の先生の教え方が上手いという保証もありません。易しいことならいいが、難しいことを上手くない授業で生まれて初めて教わると、かなりの危険度でそこがわからなくなります。だから、授業をされてしまう前に自分でできるだけわかっておくのです。春休みにも予習をするのですが、高校に入ってからもずっと、数学の予習を(英語も古典もそうですが)欠かさないようにしましょう。

白チャート教材は? 高校在学中の兄姉がいれば教科書を借りてもいいのですが、練習問題に詳しい解答がついていた方がいいので、あまりお勧めではありません。これまでのところの私の見解では、数研出版『白チャート』(正式名称『チャート式 基礎と演習』)の数学Ⅰがいいと思います(数学Aもあるし、Ⅰ+Aの合本もある)。教科書のダイジェストのような解説がありますし、例題も演習問題も平易なものから並んでいるので、初めて勉強する人でもこなしていきやすい。数学の『チャート』には赤・青・黄・白とあって、『白』は一番易しいものですが、最初はこれで十分です。たとえば札幌の公立トップ校に入ると『青チャート』かそれに相当する参考書を持たされるわけですが、何も勉強せずにいきなり『青』ではかなりの人が挫折すると思います。高校入学後すぐに『青』を買うにしても、『白』を持っていて邪魔になることはありません。むしろ助かるという人も多いと思います。


Forest英語については文法をやりましょう。たとえば桐原書店『総合英語Forest』がいいと思います。中学英語ではあまり苦労なく来た人も、あちこちで目からウロコ。また、越えなければならない大きな山がまだまだたくさんあるのを実感できると思います。章立てが小刻みですし、各章末の練習問題の量も手頃です。なお、高校でこの本かこれに相当する参考書を持たされますが、同じ本であれば2冊目を買わなければいいし、後で英文法の他の参考書を買ってもいいではありませんか。また高校で違う本を持つように言われても、『Forest』はやはり決して邪魔にはなりません。


この春休みにしっかり「心の準備」をして、高校での勉強を充実させてください。



2013年度北海道公立高校入試について

(『神谷塾だより』3月13日号に書いた記事です)

大方の予想通り、道教委の報告書(昨年秋発表)の改善意見を反映して、各教科とも出題形式が大きく変化しました。また、国語・数学・理科では「全国学力テスト」の出題を参考にしたというのが今回のもうひとつの特徴で、これは今後も注意が必要でしょう。

国語・英語では「標準のみ」の問題が易しい。学力に応じて得点できるようにとの配慮でしょうが、高校入試のレベルとして妥当なのかどうか。来年もこんなに易しいとは思わないほうが良さそう。

裁量問題が導入されてから5年目。毎年大なり小なり出題形式の変化があり、なかなか落ち着かないものです。来年もまた何か変化するに違いありませんが、出題範囲はいつも中学3年間分。むしろ「決まった形式はない」と考えて、形式の変化などには動じないタフな学力を身につけて入試に臨むことにしましょう。

国語
全体に昨年よりぐっと解きやすくなった。
共通一 漢字・実用文。漢字が従来の2点×6から1点×8に。問四は全国学力テストを参考に出題。
裁量二(標準三) 文学的文章。ほどよい難度。問二は解答要件は見つけやすいがまとめるのにやや骨が折れたか。
裁量三 説明的文章。全体に解答しやすい。問四で患者のことばを「痛い」に限定した場合は減点されるか。

数学
方程式の立式が復活。全体に難度はほどほど。
裁量2(標準3) 問2は全国学力テストを参考に出題。「素朴に数える」を実行すれば吉。
裁量5 各問とも(1)(2)に分かれた誘導形式で(1)はそれぞれ易しい。問3(2)では相似を使うため「補助線を引いてみる」という発想ができれば吉。考え方の記述にやや手間取るか。

英語
英語の苦手な層に配慮した出題であったようである。
裁量5 A・Bに分かれ、いずれも穏やかな出題。A問3の並べ替えは例年高難度だが、今回は単語の変形も過不足もない「ただの並べ替え」で正答率は高そう。英作文(B)は本文なしの自由英作文(新傾向)で「将来の希望と理由」を24語以上で書けというもの。内容がヘンでなく文法・語彙ともに誤りのない英文が書ければOKなので、上位層には易しい出題だったと思われる。配点6点で「希望」と「理由」が3点ずつであり、I want to be a(an) ナニナニ in the future と書けばそれで3点取れるので楽。後半については語数不足にならないようにうまくまとめればよい。
自由英作文というものは、文法や語彙の力がない状態でむやみに練習をしても成果は上がらない。中3の12月くらいまではオーソドックスな和文英訳の練習を積んでいくのが良いであろう。

理科
出題形式が激変。長らく物理・化学・生物・地学の大問が各2題という形式だったのが、今回は小問集合1題と物・化・生・地の大問が各1題(たとえば近年の宮城県の入試がこの形式)。「広く浅く」をやめ各分野で素材を1つに絞り、深みを出したということであろうか。ただし、その結果「運動とエネルギー」「電流と磁界」「化学変化とイオン」など高校物理・化学の基礎となる部分からの出題が全くなく、難度は高めなのに物足りない印象。
 化学・生物・地学・物理の小問が1題ずつ。基本的。
 化学(密度)。問2では表2中の液体が密度の順になっていないので思考にやや手間取る。
 地学(天気)。問4は台風の進路を風向で判断するオーソドックスな問題だが、盲点になっていた生徒も多かったと思われる。
 生物(生態系/環境)。問3は全国学力テストを参考に出題。川の汚れの原因がSの前の集落であることを指摘すれば良さそう。
 物理(電流による発熱)。作図を含めて標準的。

社会
理科と似た出題形式の変更。地理や公民の資料読み取りや計算の作業が増えて忙しいという印象。
 小問集合。地理・歴史・公民の小問が計9題。歴史ではクイズのような一問一答形式も。問9の地形図は山岳地帯のもので、等高線を追うのにやや骨が折れる。中央にある950mの表示と下方の1058mの三角点が発見できると楽か。
 地理+歴史の、これも小問集合のような形式。問4は北海道では珍しい計算+作図。問5はよくある昼間・夜間人口の問題だが「表3をもとにして」という指示に対応して事業所数や大学数に触れることができたかどうか(「いつもの問題だ」と油断した生徒が多かったであろう)。
 歴史(近現代)。標準的。北方領土の問題は(政治的意図からか)今後も毎年出るそうなので島の名と位置をしっかり押さえよう。
 公民。問1(1)の得票率の計算が煩雑で、時間に余裕がないとイライラする。(2)でもドント式の計算をするのでさらにイライラ感が募りそう(こちらは暗算でスイスイ行くが)。問2は珍しい再審の条件の記述でやや難。

受験のお守り

北海道では私立高校の入試が始まっています。神谷塾では公立高校のほうでチャレンジ組が少なからずいるので、「お守り」を渡すタイミングはその直前としています。例年、ごくありふれたプラスチックの消しゴム(私がいつも使っているのと同じ)と験担ぎになる名前のお菓子(「キッ○カッ○」など)を渡します。どちらも簡単に手に入るものですが、神谷塾の“神棚”に一定期間置いておくので御利益は絶大(のはず)。神棚なんてあるのかとお思いでしょうが、私が仕事場のその一角を神棚だと思っているのですから、いいのです。

消しゴムというのは、ふだん信じがたいほど生徒が忘れてくる(不思議なことに消しゴムだけ忘れてくる)ので、オッチョコチョイなやつが入試当日にもやるのではないか、とあるとき心配したのが始まりです。消しゴムくらい忘れても試験場で貸してもらえますが、そんなちょっとしたことで動揺する子もいないではない。でも、いつも使っているものは忘れて来ても、塾で渡された新品の消しゴムがペンケースに入っていれば、難を逃れた気分になるでしょう。あるいは、近所の席にいるであろう同じ中学の子が消しゴムを忘れて来ていたら、貸してやればいいのです。それで自分の心に余裕が生まれることもある。

広義で受験の「お守り」に含まれると思うのは、ずっと勉強してきた参考書とか予備校・塾のテキストです。まず実用面でこれに勝るものはない。それに、ページを繰るだけでも「これだけはきっちりやってきた」と心を平穏に保つことができる。闘志もみなぎってくる。予備校や塾の先生に「吉報を待つ!」などと書いてもらってあれば励みにもなりましょう。

私自身の大学受験のとき、敬愛するK先生が話しておられたのは「参考書なんかではなく、ムツカシゲな洋書を持って行って眺めていろ」というものでした。読んでいるフリをしていればよい。周囲の受験生は「あんな見たこともない外国語の本を読んでいるやつがいる」とビビるというのですね。それで、そのとき間違ってもタテに目を動かしてはいけないと。

それが本来の目的ではないですが、「周囲の受験生に対し心理的に優位に立つ」という点でも私が生徒に勧めているのはカード。中3の冬期講習あたりから、自分の弱点をカードに記して蓄積していくようにと強調します。ノートでもいいのですが、項目別に整理しやすいということではカードのほうが優れているでしょう。それは自分にだけわかるメモでいいし、たびたび改訂してもいい。何度も書き直すうち、脳内によく定着するでしょう。

英語であれば

     「sayとspeakとtalkとtellの違い」「時制の一致」「間接疑問文」
     「時または条件を表す副詞節では現在形で未来を表す」

といった要点、それに例文を添えたようなもののほか、

  「三単現のsも複数形のsも自分はよく忘れる。そこにsが要らないかどうか確かめること」

のようなオマジナイも入れておくと良い。試験前夜には優先度の高い、つまりヤバイものから順に並べるのです。その束だけを試験場に持っていけば荷物にならないし、直前にそれをパラパラ眺めるだけでその教科の準備が短時間でできる。そして、涼しげな顔でそんなことをしていると、周囲からはその教科が完璧に仕上がっている強者に見えるでしょう。完璧でないからこそ弱点カードを持ち歩くわけですが。

お守りに話を戻しますと--
では、世間で言うところの、由緒ある「○○神社のお守り」みたいなのはどうなのでしょうか。

受験生本人がそれを欲しいと思うなら、持っていてもいい。できれば彼女なり彼が自分の足で初詣などに行き、自分の小遣いからお賽銭を出して合格祈願をしてきた、その神社で買ってきたものがベストでしょう。それならば本人の本気度も“神様”に伝わっている。家族や親戚のだれかが手に入れてくれた有名な神社のものでもいいけれど、その場合は普段の勉強や模試の段階から身につけて「苦楽を共に」するのがベターでしょうね。そうすれば御利益も高まろうというものです。

さらに「では」、受験のお守りの「御利益」とは具体的には何を指すのでしょうか。

まず考えられるのは

     闘志がみなぎってくる
     平常心を保つ、または開き直る
     プレッシャーに負けそうな時にすがりつく

…といったメンタルな方面の効用。これらをお守りに求めている受験生が多いような気がしますね。もしかしたら

     それまで解けたことのないレベルの問題が入試本番に限って解けてしまう!

というような“超自然的”なことを考える人もいるかも知れません(心情的にはよくわかります)が、それは期待しないほうがいい。「実力の70%くらい出せれば上出来」というのが本番というもので、こと学力試験に限っては、実力を上回る結果になることは九分九厘ありません。

そんなことではなく、

     防げるはずのミスを防ぐことができる

これを期待すべきでしょう。ミスを回避できるのは多分に運次第といいますか、それこそ“神様”の出番のような気がしますから、「期待」するという表現がよくはまります。

全くミスがない(=絶好調の)状態を本来の実力とすれば、その70%(=上出来)に甘んじるのでなく、80%、90%とすることはすべての人に可能です。そのために何度も模試を受けて自分のミスのパターンを知ったり、試験前にカードをめくって「sを忘れるな」と自分に言い聞かせたりするわけですね。そうした様々な努力を続けた結果、いよいよ入試本番では受験の神様が現れて「そこでいつものミスをするなよ」とか「ミスったぞ」と囁いてくれる。

実はその神様はきっと自分の中にいるのでしょう。お守りは“神様”を呼び覚ます手段になってさえいれば、カードでも神社のお守りでもなんでもいい。私が受験のお守りに期待したい「御利益」は実にこれです。

受験生の皆さんへ。「お守り」が欲しいと思う気持ちは、決して不合理なことでも根性が足りないわけでもありません。むしろ自分なりの「お守り」を用意するのは大事なことだと私は思います。本番では受験の神様を呼び覚ませるよう、周到に準備しておいてくださいね。


2010年度公立高校入試について(特に学校裁量問題)

[ 本日付けの『神谷塾だより』に以下のことを書きましたので、ここにもアップしておきます ]

昨年春の入試で学校裁量問題の様子がわかって、受験生は具体的に心の準備をすることができるようになり、各塾では対策も行われました。その結果、裁量問題採用の各校の今年の合格最低点は多少は伸びるのだろうと思っていました。が、例えば最難関の札幌南で、予想合格最低点(道コン受験者の自己採点結果による)はランクAで223点、Bで233点、Cで238点(各ランクの中央での値)と、昨年度とさして変わりはありません。つまり、塾が「裁量問題対策授業」をしたからといってすぐに得点に反映するわけではない、ということでしょうか。あるいは、昨年も書きましたが、モンダイは裁量問題以前のところにあるのかも知れません。

今回の入試での裁量問題の配点は、国語21点+数学18点+英語17点=合計56点 でした。仮に裁量問題採用校を受験して、裁量問題を全部「捨てた」とすると244点満点。上の札幌南の数字は、244点の中で最善を尽くせばどの高校でも十分戦えることを示しています。まして各教科の裁量問題で1問でも2問でも正解できれば、合格は確実となるでしょう。

新中3の人には、まずは「裁量問題以前」なのだと強調したい。裁量問題のことが気になるのが当たり前ですし、解けるようになるのに越したことはないけれど、国数英の標準問題と社会・理科を確実に得点する力を身に付けるのが先です。裁量問題に気を取られて応用問題の練習に走り、基礎固めを怠るのは本末転倒というもの。受験の戦略としても上手くありません。

そして裁量問題対策。数学・英語はどんどん先取りをして、中学の内容を早めに最後まで済ませてください。数学は教科書とワークの練習問題、英語は文法のワークの練習問題。「締め切り」は2学期の定期試験の前か、遅くとも冬期講習の前。まず一通り済ませるのが大切で、理解を深めるのは後でじっくりやればいい。

国語については、ばりばり読書をすることに尽きます。習慣のない人は読み易いものから始めればいいが、お手軽なものばかり読んでいても力はつかない。ここ2年の問題を見れば要求されるレベルがわかるはず。説明的文章なら新書に挑戦。文学的文章なら昭和中~後期の著名な作品(教科書の巻末の文学史表が参考になる)。読むべき本はおそらく学校の図書室で見つかるだろう。

ところで、昨年や今年のような状況がいつまでも続くわけはなく、合格ラインはじわじわ上昇していくと私は思います。中学生が早くから入試の圧力を感じ、塾や学校には保護者の方々から「裁量問題対策をどうしてくれるのか」という圧力が加わって、全体として入試の難度にふさわしい態勢ができつつあると思うからです。

うまく消化できているかどうかは別として、新学習指導要領の移行措置も始まりました。中学生の学力は少しずつ上がっていくに違いありませんし、そう願いたいものです。この点で、高校入試が難しくなったのは歓迎すべきことだと私は思っています。


学校裁量問題

北海道の公立高校入試が終わりました。受験生のみなさんはお疲れ様でした。学校裁量問題のことが新聞の紙面を賑わせていますので、私も関係者の端くれとして一言、二言、三言…。

説明不足というか…

今回の裁量問題導入について、北海道教育委員会(道教委)は、当初何と説明していたでしょうか。手許にある2008年6月24日付北海道新聞の記事を見てみますと、前日の道教委の記者会見ではこんなことが言われています。田畑明雄高校教育課長の説明です。

「学習指導要領の範囲内で出題するので、中学校での指導内容の変更や、特別な受験対策は必要ない」
「従来も応用問題は出題しており、そちらに軸足を移すだけ。難問、奇問、珍問ではない」


これを真に受けていた人は、驚愕したでしょう。「裏切られた」と言っても過言ではありません。確かに指導要領内の出題でしたし、奇問・珍問ではありませんでしたが、英語や国語はまぎれもなく難問だったのですからね。

「難問となる可能性があるので、導入校を受験する生徒はそれなりの対策をしてください」

と言うべきだったのではないでしょうか。

問題例を見せるべきだった

もちろん、応用問題というのはふつう難しいので、道教委に言われなくても対策はします。しかし、これまで国語・英語では呆れるほど幼稚な問題がしばしば出題され、全国でも1番目か2番目に易しいと言われてきた経緯を鑑みるに、

せいぜい全国の平均か、それを若干下回るくらいのレベルに落ち着くのではないか

と予想する人が多かったと思います。それが一気に全国平均を上回るレベルに躍り出てしまった。衝撃的です。

すでに識者から指摘がありますが、モデル問題を示してさえいれば、各高校は導入か否かの判断をしやすかったはずですし、受験生も(塾も…)対応しやすかった。

先の道新の同記事ではこんなことも書かれています。

道教委は、裁量問題について「従来の応用問題と大差ない。特別の対策は必要ない」として、事前にモデル問題を公表する予定はないとする。

そういうわけで、秋田・宮城など先行する他県で出題された選択式応用問題を見てイメージを湧かせる、という対策が推奨されました。北海道学力コンクール(道コン)でも裁量問題を想定して出題するわけですが、なにぶんにも手探り状態なので、8月英語や1月国語のようにやたら難しかったり、11月以降の英語のように今ひとつ物足りなかったりもしました。

さて、道教委としては今回のことをどう説明してくれるのでしょうか。6月の時点ではそんなに難しくしないつもりだったのに、実際問題を作ってみたら難しくなってしまった、ということなのでしょうか。それならば、前言撤回して、モデル問題を示すべきでした。

「こんな感じの問題になる見込みです。見ての通り、ちょっと難しいかも知れません」

前言撤回とか計画見直しいうのは、お役人が一番嫌いなことのひとつです。しかし、決して大げさではなく、受験生の一生に関わることなのですよ。難しいとわかっていれば、覚悟を決めることも、作戦を変更することもできたのです。受験生の身にもなってみてください。

差がつかない…

おそらく、いわゆる「トップ校」以外の多くの導入校では、かなりの受験生がお手上げ状態だったのではないでしょうか。受験生の大半が裁量問題を前にして手も足も出なかったとすれば、国語で21点分、数学で15点分、英語で17点分がまるまる空白となり、本来60点満点の試験は国語で39点、数学で45点、英語で43点が実質的に満点という試験です。

「差をつける」ために導入したはずが、逆にこれまで以上に差がつきにくくなってしまった、という高校もあるはずです。それならば、標準問題で試験したほうが適切だったに違いありません。従来の問題で十分合理的な選抜ができていた高校は、横並び意識やメンツなどにこだわらずに導入を見送っても良かったのです。

裁量問題を導入するか否かは毎年検討されます。昨年は9月でしたが、今年はいつでしょか。裁量問題の難度が維持されるのか易化するのかにもよるのでしょうが、いずれにしても、今年の反動で、来年2010年度入試では導入校がぐっと減るように思います。

英語

すでに指摘されているように、多くの受験生には時間が足りなかったと思います。文章を全部読んで理解してから解こうと思うと、読んでいるうちに時間切れになったかも知れません。幸いにして、途中まで読んでは小問を解くということができる出題なので、白紙は免れたかも知れません。ただし、一文一文が長いので、正確に読むためにはかなりの読解力が要ります。それを裏付けるのは文法。コミュニケーション重視の英語教育では、この問題には歯が立ちません。

それにしても、あの原稿どおりにスピーチをしたとすると、そうとうにわかりにくいものになる可能性があります。実際の会話で関係代名詞なんか使うものでしょうか。

数学

私は、関数とか空間図形で仕掛けてくるだろうと思っていたのです。私の趣味では関数。高校入試の目的ということでは、アタマを試すという側面も重要ですが、高校数学のメイン部分のひとつに接続するような出題がいいのではと。

それで、裁量問題の部分が難化して、もともと難しめだった数学がすご~く難しくなるのでは?と心配していたのですが、ものの見事にはずされました。大問1の小問集合が「易しめ」から「標準」になっただけ。国数英の中では一転して最も与しやすいものになりました。ただ、小問集合では物足りなさを否めません。

大問にして、小問を5つくらい。大学入試ではそれが普通であるように、ある小問が次の小問のヒントになっている形式。これがいいと私は思います。

国語

外山滋比古氏の文章は、入試や模試でも中学生には比較的お馴染みですし、昨年は『思考の整理学』が評判になっていたりしました。それで、外山さんに注意!と私は生徒によく言っていました。この点では“的中”といいますか、かすったかも知れません。ただし、「読めよ」と言っても読まないのが中学生。たぶん意味はありませんでした。

また、仮に『思考の整理学』あたりを読んでいたとしても、今回の出題には歯が立たなかったかも知れません。一読して、「これは無理かも」と思いました。文章を読み込むことができれば、構造がしっかりしていて論旨は明解。設問もわりあい対応しやすいものだったと思います。読めていればの話ですが。

こういう文章を読めるようになるには、普段から読むしかありません。試験のときだけ頑張ればなんとかなると多くの生徒は思っていますが、甘いです。これを機に、新書などを読む習慣がつくように中学校が奮起してくれるといいのですが。

塾での“対策”

さて、道教委の発表には「特別な対策」という表現がたびたび出てきますが、これには暗に「塾での勉強」という意味も含まれていたかも知れません。ただし、裁量問題が出るからといって、塾が「裁量問題対策」をぶちあげて授業をしても、それでついてくる生徒ばかりではなかったでしょう。

難しい問題に自力で切り込む力は、天下りで注入できるものではないのです。一部の意欲的な生徒には有効かも知れませんが、一斉指導では多くの生徒が受け身になってしまって、全体的に効果を上げることはおそらく難しいでしょう。

神谷塾では数理講座の中3数学がもともとそちらを向いていたので、「裁量問題対策」の側面を強調、私も多分に意識しながら授業をしてきました。しかし、個人の資質を高める、という点では個別にやるしかありませんでした。ひとりひとり実力が違うわけなので、一斉指導ではできにくいのです。丁寧な添削を含めた個別指導が有効です。

…と言っているうちにも、また受験の1年が始まります。新指導要領の移行措置(前倒し実施)でも今年はゴタゴタしそうです。